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「独りぼっちのシンデレラ」
ときどき自分は腹を立てるためにハーレクインコミックを読んでいるのじゃないかと思うときがあります。
なにしろ、ほとんどのハーレクイン作品に、とても腹立たしいタイプの人物が登場するのです。
それは、ヒロインの恋人や結婚相手、元彼もしくは元旦那、現旦那の両親、元嫁、連れ子、部下や上司だったりします。
いずれにせよ、そういう不穏分子が必ず出てきて、読者(私)がはなはだしくイラッとすることを、やらかしてくれます。
もちろんちゃんと不穏分子を片付けて、お約束のハッピーエンドを迎えることになるのですが、あまりにも不穏の度が過ぎると、いやーな後味が残ることになります。
後味がいちばん良くないのは、ヒーロー、つまりヒロインの恋人もしくは亭主のろくでなしっぷりが、あまりに酷すぎた場合です。
そして、ハーレクインというジャンルでは、大富豪だったり王家のメンバーだったりするヒーローが、実に高確率で、根深いトラウマ持ちだったり、歪んだ性格だったりする場合が多いです。
「独りぼっちのシンデレラ」も、まさにそんな作品です。
ヒロインのケイシー・ノースは、早死にした両親の代わりに弟たちを育て上げ、やっと自分のための人生を開始しようとしたところで、大富豪である青年実業家のルーク・グリフィンの妨害を受けることになります。
ルークは、札束で顔を叩くようなやり方で、ケイシーが引退した家事代行業を、強引に引き受けさせてしまいます。
で、仕事をさせるうちに、ケイシーが無欲で誠実な性格であること、容姿も素晴らしいことなどがわかってくると、ルークはケイシーを言いくるめて、身勝手な愛人関係に巻き込んでしまいます。
さらに、ケイシーが、自分とパーティに出かける約束を断って、怪我で入院した弟の元に駆けつけようとしたとたん、ルークは激怒し、ケイシーを捨ててしまいます。
捨てられたあと、ケイシーは妊娠していることに気づきます。ルークがちゃんと避妊しなかったことが原因でした。
もちろんケイシーも大人ですから、ルークの申し出にOKした以上は、自分の責任でもあるわけですが、弟たちを育て上げるために、自分の夢も恋愛も我慢して、ひたすら働いて生きてきた女性にとって、こんな出会いは、災難としか言えません。
ルークの傲慢さや、女性に対する身勝手さは、麻薬中毒だった実の母親に虐待されて育ったことが原因だったと、作中で説明されています。
ケイシーがパーティの約束よりも弟の耳委を優先したことにブチギレたのも、母親が、わざと約束をやぶるというやり方で、我が子を精神的に痛めつける人物だったせいでした。
ケイシーがパーティの約束よりも弟の耳委を優先したことにブチギレたのも、母親が、わざと約束をやぶるというやり方で、我が子を精神的に痛めつける人物だったせいでした。
それは確かに気の毒な生い立ちですが、母親の悪業の報いを、他の女性に背負わせるのはナンセンスです。
最終的には、ルークはケイシーの妊娠の責任を取り、ケイシーにした仕打ちを深く反省もして、ついでに愛する気持ちも確認して、結婚を申し込むのですが、読んでいる側としては、どうにも釈然としません。
ケイシーは、手のかかる弟たちを育てあげて、やっと自分の人生を手に入れられるところだったのに、またしても、やっかいな育児の必要な男をパートナーに選んでしまったようで……
いくら大富豪の美青年でも、私なら、こんな男は御免です。(´・ω・`)
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